意識:私たちが重要な存在である理由

(ミッドジャーニー)

犬、ライオン、鶏、魚、人間など、どの種の動物であろうと共通点があります。それは、「意識」があるということです。

意識があるということは、世界を主観的に経験する能力があるということです。例えば、意識を持つ存在は寒くなったり、お腹が空いたり、喜んだりするかもしれません。

人間、少なくとも一部の人間は、小説を書いたり、宇宙船を発射したり、哲学を議論したりすることができるので、人間の主観的な経験が最も豊かで幅広く、意義深いと思われることがあります。

しかし、果たしてそうなのでしょうか?

例えば、「五感」を見てみましょう。実は、人間の感覚は他の動物の感覚に比べて非常に鈍い場合があります。犬の嗅覚、ワシの視力、イルカの聴覚は、人間のよりも遥かに優れています。もしかしたら、これらの動物たちは人間よりも豊かに、敏感に世界を感じているのではないのでしょうか。 [1,2,3]

多くの動物は私たちにはできない方法で世界を知覚します。ネズミは暗闇の中で食べ物を探すために鼻のひげを使い、サメは曇った水の中で狩りをするために電場を感知し、コウモリは空を飛ぶためにエコロケーションを使い、サケは航海するために地球の磁場を感じ取ることができます。実に、多くの動物たちはまるでスーパーパワーを持っているかのようです。したがって、彼らと同じ能力を持つ人間はスパイダーマンやウルヴァリンのようなスーパーヒーローになることができます。[4,5,6,7-9]

その上、長年の研究によると多くの動物は世界を鋭く知覚するだけでなく、様々な問題を解決し、幅広い複雑な感情を持ち、身体的にも心理的にも苦しみを感じることができるというデータが出てきています。ある魚はハマグリを開けるために道具を使い、鶏は捕食者の気配を感じると怯え、牛は群れから離されるとストレスを感じます。
[10-13,14-15,16,17]

タスクフィッシュは、ハマグリを開けるためにサンゴを道具として使います(ブループラネットII、BBC)

鏡を見て自分を認識できるかどうかを調べる「ミラーテスト」と呼ばれる実験では、チンパンジー、イルカ、ゾウだけでなく、マンタ、カラス、スマホほどの大きさのホンソメワケベラという魚もその実験に成功しました。[18,19,20,21,22,23-24]

ブルー・ストリーク・クリーナー・ラッセが鏡で自分を調べます(大阪市立大学)

動物たちに「意識」があるということは、動物の種によって異なる「経験」が存在するということです。そして意識がある限り、どの動物であれ生きるのに必死であり、全員苦しみを避けようとする「個人」であると言えます。

では、なぜこれが重要なのでしょうか?

「意識」が重要である理由は、何か、あるいは誰かが道徳的に大切であるかを決定するための強固な基盤になるからです。

「意識を持つ存在」は私たちの行動により、何かしらの影響を受ける可能性があります。例えば、鶏を縛って池に投げ込むと、鶏はパニックし、溺れ、それを主観的に苦しい経験として捉えます。鶏は苦しみを経験することができるので、道徳的に重要な存在であると言えます。一方、石には意識がないため、石を池に投げ込んでもただ沈むだけで、苦しむことはありません。石は苦しみを主観的に経験することができないので、道徳的に重要ではありません。

動物保護施設で、キウイという名前の鶏がひよこたちの世話をしています。(Gabriela Penela / We Animals Media)

意識の有無に応じて、私たちの行動を考える必要があります。意識を持つ存在に対して真剣に配慮する必要がありますが、意識のない存在についてはそこまで深く考える必要はありません。もし、動物を助けることを考えたことがあるならば、「犬やゾウ、イルカはもちろん助けるべきだけど、鶏やマス、コオロギはどうだろう?」と考えたことがあるかもしれません。

つまり、「どこで線引きをするのか?」ということです。

直感的に、私たちは動物の価値を測る際に、知能やかわいらしさ、またはペットであるのかどうかを基準にする傾向があります。「猿は頭が良くて、ハリネズミはかわいいし、猫はペットだから大切」と、思うでしょう。

しかし、この考え方によると、ある種の動物が他の種の動物より不当に扱われる可能性に繋がります。

例えば、犬は賢くて可愛いと思われ、「人間の親友」と見なされています。そのため、私たちは犬を家族に迎え入れ、ドッグランに連れて行き、彼らと遊んだりします。

一方、鶏はバカで特に可愛くもないと思われ、ただの「家畜動物」と見なされています。そのため、私たちは鶏を畜舎に閉じ込め、首を切り、彼らの身体を食べたりします。

動物の価値を測るために、知能やかわいらしさ、または「ペット」としての地位などの特徴を使用することは、そういった特徴を持たない動物に対して不公平で不合理な差別をもたらす可能性があります。

「意識」の有無を判断基準として採用することで、動物の重要性を客観的かつ公正に評価し、差別や偏見を回避することができます。「意識」の有無は、誰かの経験、幸福、苦しみを決定する上で極めて重要な要素です。したがって、意識の有無を判断基準にすることで、犬と鶏などの異なる種が持つ特徴に関わらず、すべての個体が尊重されるべきであり、公正な世界の実現に向けた大きな一歩となります。 

どの種の動物であれ、「意識」さえ持っていれば、彼らの経験、幸福、苦しみは彼らにとって大切であるので、私たちにとっても、大切であるべきです。

私たちの目標が動物に対して公正な世界を作ることであるならば、「どこで線引きをするのか?」と考えるのではなく、私たちの道徳的配慮を、意識を持つ生物全体に広げることが重要です。

記事提供:りゅうじとトシ


参考文献

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